新素材イノベーションラボ 京都工芸繊維大学

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研究成果

MIを有効活用した特筆すべき研究成果

粒子群最適化を用いた量子化学計算の高速化

新素材イノベーションラボ 湯村尚史教授と同フェローで会津大学コンピュータ理工学部 西舘陽平准教授は共同で、人工知能の一種、粒子群最適化を用いて量子化学計算を用いたホスト-ゲスト構造の最適化の高速化に成功した。 これは、京都工芸繊維大学と会津大学の包括協定による共同研究の成果である。

発表論文

  1. Performance of Particle Swarm Optimization in Predicting the Orientation of π-Conjugated Molecules Inside Carbon Nanotubes Compared with Density Functional Theory Calculations
    Fukuura, S.; Nishidate, Y.; Yumura T.
    J. Phys. Chem. A 2024, 128, 25, 5054–5064.

カーボンナノチューブの分散剤に求められる分子構造因子の解明

炭素材料の水性コロイドは墨として広く知られているが、その脂溶性コロイドはあまり知られていない。とくに機能性複合材料の設計に向けては脂溶性汎用樹脂との相溶性が重要である。
本研究では脂溶性を与えるカーボンナノチューブの分散剤に求められる分子構造因子を見出した。またその分散機構で働く分子間相互作用を機械学習により推定した。

発表論文

  1. Governing Factors for Carbon Nanotube Dispersion in Organic Solvents Estimated by Machine Learning
    Y. Nonoguchi, T. Miyao, C. Goto, T. Kawai, K. Funatsu
    Adv. Mater. Interfaces 9, 2101723 (2022). Back Cover選出

スクリーニング技術と組合せた組換えタンパク質の発現量や触媒活性を効率的向上化

組換え抗体の優良クローン獲得のために、機械学習による発現量や親和性の予測モデルの構築を行った。また、alpha-fold3によるタンパク質の三次元構造予測やドッキングシミュレーションを活用した機能解析を行った。これらMI技術とこれまで行ってきたスクリーニング技術の組み合わせによって、組換えタンパク質の発現量や触媒活性を効率的に向上できることを明らかにした。

発表論文

  1. Generation of rabbit single-chain variable fragments with different physicochemical and biological properties by CDR-grafting technology
    Nguyen, N, M, Nakao, K, Kobayashi, R, Taniguchi, H, Yokoyama, F,Horiuchi, J, Kumada, Y*
    Journal of Bioscience and Bioengineering, in press.
  2. Mechanistic conformational and substrate selectivity profiles emerging in the evolution of enzymes via parallel trajectories
    Karamitros, S, C, Murray, K, Kumada, Y, Johnson, K, D’Arcy, S, Georgiou, G*
    Nature communications, 15, 7068 (2024).

分野融合・産学連携スタートアップ支援課題

分野融合スタートアップ支援課題

代表者 共同研究者 課題名 研究期間
外間進悟
分子化学系 助教
杉 拓磨
広島大学大学院統合生命科学研究科 准教授
格子欠陥を内包する窒化ホウ素量子センサの開発 支援日より1年間
安井基博
分子化学系 助教
河合 健太郎
摂南大学 薬学部 教授
AIを活用した新奇含窒素ヘテロ環の仮想的生物活性スクリーニング 2025年2月―2026年1月
辰巳 創一
材料化学系 助教
岡田 有史
材料化学系 助教
薄膜蒸着安定ガラスの二次元微細構造の検出 2024年9月―2026年3月

産学連携スタートアップ支援課題

国際共同研究成果

ナノバブルと超音波の国際プロジェクト研究

ユニット招致する海外の大学と研究者

Paris Diderot University
CNRS researcher (CR1) Valentin Leroy

本学担当教員

材料化学系

  • 則末智久 教授

大きさがナノメートルレベルのナノバブルは、ラプラス圧が非常に大きくなり、圧縮率が極めて高いために容易に圧壊してしまい、ナノバブルが自然に存在し得るかが基礎科学的観点からの議論の的になっています。則末教授はLeroy准教授をユニット招致し、独自に開発した超音波散乱法を駆使して、平成28年(2016年)1月よりナノバブルの基礎研究を開始し、超音波散乱法がナノバブルの存在を決める新手法となることを国際共著論文(ChemPhysChem 17, 2787 (2016))で示しました。ナノバブルの安定な存在に関しても未だ解明されておらず、今後は、マイクロバブルがナノメートルサイズに収縮して消滅する過程も計測できるように、バブルの濃度とサイズ分布を解析する理論と手法をも取り入れた研究を継続しています。

平成27年度 平成28年1〜3月の3カ月間、Valentin Leroy准教授を本学の特任准教授としてユニット招致し、ナノバブルと超音波の共同研究を実施した。
平成28年度 平成28年9月~平成29年3月の7カ月間、Leroy准教授を再度ユニット招致し、ナノバブルと超音波の共同研究を実施した。

超音波を使った柔らかい凝集系材料に関する国際研究プロジェクト

ユニット招致する海外の大学と研究者

University of Manitoba
Distinguished Professor Emeritus John Page
Professor Martin Scanlon

本学担当教員

材料化学系

  • 則末智久 教授
平成28年度 平成28年5月~平成29年3月の11カ月間、Daiva Daugelaite 研究員を本学の特任助教としてユニット招致し、共同研究を実施した。
平成28年8月~10月の3か月間、Anatoliy Strybulevych研究員を本学の特任准教授としてユニット招致し、共同研究を実施した。

エネルギー収集(貯蔵)と輸送に関する高分子/ナノ材料の国際研究プロジェクト

ユニット招致する海外の大学と研究者

National University of Singapore
Assistant Professor Siowling Soh

本学担当教員

材料化学系

  • 中西英行 准教授
  • Rakesh Pandey 特任助教

電気化学キャパシタは、電極と電解質の界面で形成される電気二重層を利用して蓄電するものであり、従来のコンデンサや蓄電池とは全く異なる新しい概念のエネルギー貯蔵材料です。高分子/金ナノ粒子電極から構成される電気化学キャパシタを用いた新規なエネルギーの貯蔵法、ならびに実験的な側面からcontact electrification のメカニズムを提唱し、contact electrificationを利用する有用なエネルギーの収集法を開発していきます。

平成27年度 平成28年1月~3月の3カ月間、Rakesh Pandey特任助教をユニット招致し、共同研究を実施した。
平成28年度 平成28年3月~平成29年3月の12カ月間、Rakesh Pandey特任助教をユニット招致し、共同研究を実施した。
平成29年度 平成29年4月~、引き続きRakesh Pandey特任助教をユニット招致し、共同研究を実施している。

有機ナノデバイスのベースとするエネルギー生成材料の国際研究プロジェクト

ユニット招致する海外の大学と研究者

University of Cambridge, Cavendish Laboratory
Professor Henning Sirringhaus

本学担当教員

材料化学系

  • 堤直人 教授/副学長
  • 木梨憲司 准教授
  • 山雄健史 教授
  • 稲田雄飛 助教

有機ナノ結晶の配列や有機半導体ナノファイバーを用いた新たな相互貫入型有機太陽電池デバイスの開発を目指して、研究をスタートさせます。軽量、フレキシブルでウエラブルにもなり、どこでも手軽に使える光(太陽)発電デバイスを目指します。2017年1〜3月の期間、稲田助教がCambridge大学Cavendish 研究所のProf. Sirringhausの研究グループで光共振器を配備した有機発光デバイスの開発に関わる研究に従事しました。活性な金属電極と封止用化合物を連続で真空蒸着するための条件検討を行い、有機半導体単結晶デバイスを封止しました。本成果は、有機発光デバイス開発を加速させるものと期待しています。

非線形反応によって誘起する自己組織化に基づく新規な構造制御の国際研究プロジェクト

ユニット招致する海外の大学と研究者

Budapest University of Technology and Economics
Associate Professor Istvan Lagzi

本学担当教員

材料化学系

  • 中西英行 准教授

非線形反応によって引き起こされる自己組織化構造は、自然環境や生体システムで見られる秩序構造に類似することから興味が持たれ、多くの研究がなされてきました。この研究では、自己組織化現象を材料科学の分野に適用し、材料の構造設計に応用する研究を行っています。生体系における複雑で多様な構造を高分子などの材料に発現させることができれば、マイクロレンズアレイなどの光学材料や物質の合成や分離の足場として広く利用することが考えられます。本研究ではモデル系として、金ナノ粒子などのビルディングブロックの合成と表面設計を行い、それらの高分子媒体中における自己組織化のダイナミクスについて基本的な研究を行っています。

非線形反応によって引き起こされる自己組織化現象を材料科学の分野に適用する新たな材料の構造制御の国際共同研究を平成27年(2015年)から実施し、金ナノ粒子などのビルディングブロックの合成と表面設計の研究に成功し、国際共著論文2報(Langmuir 31,12019 (2015)およびPhys. Chem. Chem. Phys. 18, 25735 (2016))に発表しています。平成29年1月〜3月に、Lagzi准教授を大学院生と共にユニット招致し、モデル系で本手法の妥当性の検討を開始し、本手法を用いて生体模倣(バイオミメティック)の複雑で多様な構造を高分子材料で発現させたり、ナノヘテロ構造のチューニングへ応用することを目標に、幅広く材料の設計、制御、創製に活用していきます。

平成28年度 平成28年1月~3月の3か月間、Istvan Lagzi准教授を本学の特任准教授としてユニット招致し、共同研究を実施した。
画像:静電相互作用の遮蔽によって現れた金ナノ粒子の集合構造(Voronoi diagram)
静電相互作用の遮蔽によって現れた金ナノ粒子の集合構造(Voronoi diagram)

温度応答性高分子の高機能化に関する新たな国際研究プロジェクト

ユニット招致する海外の大学と研究者

University of Montreal
Professor Julian Zhu

本学担当教員

材料化学系

  • 町田真二郎 准教授

モントリオール大学Zhu教授より提供された、2段階の温度応答性を示す新しい温度応答性高分子の温度応答に伴う微環境変化を蛍光プローブを用いて評価しています。さらに、温度応答性高分子を金ナノ粒子表面に修飾し、その相転移前後における蛍光強度や寿命と局在表面プラズモン吸収の相関を明らかにしつつあります。今後は、同大学より研究者をユニット招致し、研究を充実させていきます。

画像:静電相互作用の遮蔽によって現れた金ナノ粒子の集合構造(Voronoi diagram)